2016年09月


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次の瞬間、死と同じように動かしがたいベルガラスは、扉の残骸を越えて、かつて兄弟と呼びならわしていた男にむかって飛びかかった。
 ゼダPretty Renew 美容院ーは老魔術師の怒りに思わず一歩下がった。「殺すつもりではなかったのだ、ベルガラス」かれは声を震わせながら、ベルガラスの急襲を避けようと、腕を上げかけた。「この愚か者はわたしを攻撃しようとしたのだ。こいつは――」
「おまえは――」ベルガラスは憎しみに食いしばった歯のあいだから、しぼり出すような声を出した。「おまえは何という――」だが、それ以上は言葉にならなかった。いかなる言葉ももはや老人の怒りを押さえることはできなかった。ベルガラスは両手をふり上げると、拳でゼダーの顔をなぐりつけた。ゼダーはよろめいたが、老人は胸元を引っつかんでなおもなぐり続けた。
 ガリオンは二人の意志がときおり相手にむかってひらめくのを感じたが、双方ともやみくもな激情に駆られているために、力を集中することができないのだった。二neostrata 果酸人の魔術師はまるで居酒屋の喧嘩のように床をごろごろ転げまわり、蹴り、引っつかみ、殴りあった。ベルガラスは激しい怒りに、ゼダーは恐怖と後悔にすっかりわれを忘れていた。
〈裏切者〉ゼダーは死にもの狂いで、腰につけた短剣を抜いたが、すぐにベルガラスはその手首をつかみ、床に何度も叩きつけた。短剣ははね返りながら床の上を飛んでいった。二人は短剣をつかもうと激しくもみあった。引っかきあい、押し合い短剣をつかもうと、どちらも激しいしかめ面に顔を歪めていた。
 三人がいっせいに部屋になだれこんだ狂おしい瞬間に、ガリオンはわれ知らず、背中にくくりつけた剣を抜いていたが、今こうして二人の魔術師の死闘を前にしても、〈珠〉と剣は冷たく、何の反応も示さなかった。
 ベルガラスの手はいまやゼダーののどをぐいぐい締めつけ、一方、窒息しかかったゼダーは必死でベルガラスの腕に爪をたてていた。仇敵の首をしめる老人は獣のように歯をむきだし、唇をめくりあげていた。ついにベルガラスは狂気に駆りたてられたかのように、ゼダーを引きずり起こしながら立ちあがった。そして一方の手でゼダーの首をしめ上げたまま、もう一方の拳を雨あられと相手の上に打ちおろし始めた。打撃のあいまに老人の腕が足もとの床にむかってさっと降りおろされた。そのとたん、恐ろしいきしみと共に、巨大な裂け目があらわれ、床を雷形に引き裂いた。裂け目が広がるにつれ、石が抗議するように悲鳴をあげた。二人の男たちは相変わらず争ったまま、よろめき、ぱっくり口を開けた裂け目の中に落ちていった。とたんに大地が揺れ動きはじめた。そして凄まじい音とともに引き裂けた床が閉じたNeo skin lab 傳銷


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「わたしたちの間には、話しあわなければならないことなどないはずよ。あなたのやるべきことは、これからわたしの言う指示を一字一句もたがえず守譽一鐘錶っていただくことです。まず港に直行して、ただちにアルガリア行きの船に乗るよう命じます。あなたにはチェレクの艦隊に合流して、アンガラクとの戦いに参加していただきます」
「断固、拒否する」グロデグは反発した。
「よくお考えになった方がよろしいのではないですか、グロデグ殿」メレルが猫なで声で言った。「王妃さまの出された命令は王の命令ですよ。拒否することは反逆を意味しますわ」
「わたしは、いやしくもベラーの高僧ですそ」グロデグは食いしばった歯のあいだから、あきらかに凄みをきかせようと苦心しているようだった。「まさか農民あがりの徴集兵のように、船で送られようとおっしゃるのではないでしょうな」
「そうなるかどうか、賭けをなさってみたらいかがですか」トーヴィクが表面的には穏やかな口調で言った。狩人は槍の柄の一方を床につけYumei水光精華、ベルトに着けた小袋から小石を取り出し、すでに研ぎすましてある槍の穂先を研ぎはじめた。その冷酷な音はグロデグを震えあがらせた。
「さあ、ただちにい、グロデグ」イスレナ王妃は命じた。「そして乗船なさい。拒否されるのでしたら、地下牢送りになりますよ。夫が戻るまでネズミたちとともに、待っていただくことになります。アンヘグと一緒がよいか、ネズミと一緒がよいか、選ぶのはあなたですよ。さあ、早く決断しなさい。あなたにはいいかげんうんざりしてきたところよ。率直に言って、あなたの顔を見ているだけでも不愉快だわ」

 ドラスニアの王妃ポレンは、息子に食事を与えるという名目で育児室にいた。母親としての人格を尊重して授乳中には護衛をつけないことになっていた。だが今、王妃は一人ではなかった。ドラスニアの情報部の長《おさ》である、きゃしゃな身体つきのジャヴェリンが同室していた。かれは人目をごまかすために、女召使いのガウンと帽子をつけていたが、変装したかれは格別意識しなくても驚くほど女性らしく見えた。
「ずいぶん多くの熊神信者たちが情報部にもぐりこんでいたのね」王妃は少し驚いたようにたずねた。
 ジャヴェリンは礼儀正しく後ろをむいて座りながら言った。「おそれながらそのようですね、妃殿下。もっと警戒を強化すべきだったかもしれませんが、つい他のことに気をとられていたもので」

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続く何日か、道を急ぐ一行の耳にいくつかの噂が入ってきたが、ガリオンは自分の目撃した恐ろしい戦いについてはいっさい耳を貸そうとはしなかった。
「要するに姿かたちをとどめておくことが肝心なのだ」ベルガラスが結論づけるように言った。
「モリンド人が王賜豪主席〈悪魔の霊〉と呼ぶものは、本来それほど人間と違わない姿をしている。それを自分の想像力で思い描いて、霊をその姿かたちの中に押しこめるのだ。仮のかたちにそれを閉じ込めているうちは、意のままに動かすことができる。だがいかなる理由にせよ、それが崩れるようなことがあれば、霊はたちまち本来の姿に戻ってしまうのだ。そうなったらどんなことをしても、二度と支配することはできなくなる。わしはこの点に関してはいささか分があったといえよう。人間の姿と狼の姿のあいだを往復しているうちに、想像力が少しばかり研ぎ澄まされたのだろうな」
「ベルディンは何であなたのことを未熟な魔術師だなどと言ったんでしょうね」んしんといった顔つきでたずねた。
「あいつは完全主義者だからな」老人は肩をすくめた。「何でもかんでもきっちり型に入れないとおさまらないのさ――それこそ最後の一ミリから足指のつま先までな。じっさいはそこまで行かなくともいいのに、そうしないとおさまらないらしい」
「もうその話はやめにしないかい」ガリオンが言った。
 それから一日あまりで一行は海岸に出た。空はあいかわらず雲に覆われ、〈東の海〉は汚れた灰色の雲の下で陰うつなうねりを繰り返していた。そこは広大な砂利浜で、風雨にさらされた流木の断片が黒っぽい丸石の上に転がっていた。泡立つ波が岸に寄せては、悲哀に満ちた永遠のため息のような音とともに退いた。海鳥は悲鳴のような鳴き声をあげながら強風にじっと漂っている。
「これからどちらへ行きますか」シルクがたずねた。
 ベルガラスはあたりを見まわした。「北だ」
「あとどれ位ですか」
「それがわからんのだ。なにしろ前に来てからだいぶ歳月もたっておる。わしは今どこにいるかもよくわからんのだよ」
「あなたの知らない場所なんてないかと思っていましたよ、ご老人」
「そう何もかもというわけにはいかないさdermes 價錢


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彼女はかれらにある昔話をした。幼い頃からさまざまに姿を変えて、聞かされてきたものだった。それは義務をまっとうして、金をもうけた良き兵士の話だった。かれの妻は兵士と結婚したばかりに、さまざまの苦難や別離の悲しみを味わなければならなかった。だが兵士が軍を除隊すると實德好唔好、二人は故郷へ帰り、小さな店を買い、これまでの苦難の日々も報われたのである。
「ところが、あるときこの妻が重い病にかかりました」セ?ネドラはなおも話を続けた。「ですが治療費はたいそう高かったのです」彼女は口を開いている間にも、鞍にしっかりとくくりつけられた袋のひもを解いていった。「医者はこれだけ必要だといいました」彼女はそう言いながら血のように赤いアンガラク金貨を三個取り出して、皆に見えるようにさし上げた。「そこで兵士は有力な商人のもとへ行き、医者に払うだけの金を借りました。だがその医者とは、ご多分にもれずぺてん師だったので、その金はどぶに投げ捨てたも同然だったのです」セ?ネドラは無造作に背後の草むらに三個の金貨を投げ込んだ。「こうして兵士の良き妻は死んでしまいました。兵士がまだ悲しみに頭を垂れているうちに、有力な商人がやってきてこう言いました。『はてさて、わたくしのお貸しした金はどうなりましたかな』」王女はそう言いながら、あらたに三個の金貨を取り出し、皆の前にさし上げた。「『わたくしが医者への治療代としてお貸しした、正真正銘のあの赤い金貨はどこですかな』。でも兵士のもとには金貨などあろうはずがありません。かれの手の中は空っぽだったのです」セ?ネドラはぱっと指を開いて認知能力、金貨が地面に落ちるにまかせた。「そこで商人は兵士の店を借金のかたに取り上げました。金持ちはますます豊かになりました。一方、たのでしょう? かれはまだ剣を失ってはいませんでした。かれはたいそう優秀な兵士だったので、それはいつもぴかぴかに磨かれ、とがっていたのです。妻の葬式を終えた兵士は剣を取り上げ、町からさほど離れていない野原に行くと、それでわが身をさし貫きました。これがこの物語の結末です」
 彼女はいまや完全に兵士たちを掌握していた。それは男たちの顔にはっきりと表われ出ていた。彼女の物語はこれまでに語りつくされてきたものだったが、彼女があまりにも無造作に投げ捨てた金貨が、これまでにない効果を発揮していた。王女はさらに何枚かのアンガラク金貨を取り出すと、まるでこれが初めてというように兵士たちの顔をしげしげと見つめた。「どうして最近見かける金貨は、こんな赤い色をしているのかしら」彼女は男たちに問いかけた。
「わたしはてっきり、金貨というのは黄金色をしているのかと思っていたけれど。この赤い金貨はいったいどこから来たんでしょうね」
「クトル?マーゴスからです」何人かの兵士たちが答えた。
「まあ、そうなの」王女は見るのもいやだといった顔で金貨を見つめた。「そのマーゴ人たちがいったいトルネドラで何をやってるのかしらね」そう言いざま、彼女は再び金貨を投げ捨てた。
 さしもの鉄壁の軍紀もゆるぎ、人々はわれ知らず前に一歩踏み出していた免疫系統

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